近年、日本全体で大きな問題になっているのが空き家の増加です。
これは単なる数の問題だけでなく、街の課題とも深く関わっています。
では、なぜ空き家が増え続けているのか、そしてどのようにこれと向き合っていくべきなの考えてみましょう。
2033年頃にはなんと全住宅の3戸に1戸が空き家になってしまうという民間予測となっているのです。
1. なぜ空き家が増えているのか?
①少子高齢化
まず、空き家が増え続ける理由を考えると、高齢化や少子化が大きく影響を与えています。
少子高齢化により人口減少社会が加速する中、単純に総住宅数が総世帯数を上回り、その差が徐々に開いていることで、空き家増加に繋がっています。
また、世界基準で見ても日本人の寿命は長いとされています。
高齢者が増えたことで介護施設利用者が増加し、元々住んでいた家が空き家として残されてしまうことが多くなってきました。
②都市部への人口流出
全国の空き家率にはエリアによって大きく偏りがあります。
その理由は若者が都市部に集中する傾向があり、地方部の人口が少なくなってきているからです。
都市部へ人口が集中するということは、空き家が放置されやすい状態を生み出します。
特に、子世代が都市部へ引っ越したあと、実家が空き家となってしまうケースがあり、距離が離れていればいるほど、放置されてしまうという事例も多発しているのが現状です。
③高度経済成長期における新築建設の促進
現在空き家の住宅には高度経済成長の時期に建設されたものが多くあります。
当時、急激な人口増加に伴って多くの住宅が建てられました。また、住宅不足を解消すべく「住宅建設計画法」が施行され全国的に増加傾向にありました。
それが今現在、少子高齢化に伴い空き家となっているわけです。
④所有者の相続問題
相続手続きは、法的な手続きが複雑であるため相続人が適切に手続きを進めることが難しい場合があります。
特に複数の相続人がいる場合や、遺言書がない場合などが影響します。
また、相続に伴って課せられる相続税も問題となります。
相続税の支払いが難しい場合、相続財産を維持することが難しくなり、空き家問題が生じることがあります。
相続問題が放置されると、その土地や建物は放置されたままになり、地域にとっての問題となります。
2. 空き家が増えることによって与える影響
空き家が増えると、街にいろいろな問題が生じてしまいます。
例えば、景観の悪化です。
手入れが行き届かない建物や庭が目立ち、街の景観が悪化します。
これが進むと、地域の美しさが損なわれ、住み心地が悪くなる可能性があります。
また、治安の悪化も懸念されます。
空き家は放置されることが多く、その周辺が治安の悪い場となることがあります。
不法侵入や犯罪の発生が増え、地域全体の安全が脅かされかねないからです。
さらに、空き家が増えることによって地域経済が低迷する可能性があります。
商店の閉鎖や観光の減少が起こり、地域全体の活気が失われることに繋がります。
これらの影響は単なる数値の問題だけでなく、地域社会全体に及ぶものであり、その解決には地域住民や行政、不動産業者などが協力して取り組む必要があります。
3. 未来への提案
では、どうすればこの空き家問題に向き合い、未来に向けて街を活気づけることができるのでしょうか?
若い世代にとって魅力的な住環境を整えることも必要です。
低コストで住みやすい空き家を再生し、若者が地元に戻ってくるような環境づくりが求められています。
相続手続きのサポートや、若者向けの住宅支援策も考えるべきでしょう。
また、空き家問題の1つでもある相続手続きの難しさ。
不動産会社は、地域の住民がスムーズに相続手続きを進められるようなサポートを提供しております。
これらの取り組みは、地域の未来への貢献として積極的に行っていくことが大切です。
4. 空き家の対策
現在、空き家を活用したビジネスが注目されています。
事例①賃貸として貸し出す
よくあるのが初期投資として空き家をリフォームし、きれいになった家を賃貸として貸し出すケースです。
住んでくれる方がいればその後は安定した家賃収入を得ることができます。
事例②建物を解体して土地活用する
建物の老朽化が進んでしまっている場合、解体して更地で活用するという方法もあります。
この方法は場所によって需要の差はありますが、都心部だとコインパーキングとして活用する事例があります。
5. まとめ
空き家問題は日本の未来にとって大きな課題ですが、国・自治体が積極的に取り組みをし始めていることもあり、空き家ビジネスが盛んになりつつあることも事実です。
新たな可能性や活気を生み出すことで未来を担う若い世代と地元の絆を深め、空き家を活かして街をより豊かに、魅力的に育てていくことが重要です。